2018/5/11-14

Sidd Murray-Clark × Satoko Noguchi – Mirare –

 

2018/5/11(金)-14(月)

12:00 – 19:00(最終日~18:00)
会場・主催:Star Poets Gallery

 

Just as echoes seek out valleys and reflections look for mirrors, wonder longs to inspire and touch us with the art of peace.
 

こだまが反響し谷を探し求めるように、反射する光は鏡を探し求める。

不思議という名の静けさの美学と共に、わたしたちを呼び起こし、触れることを切望している。

 


 

 

 

 

  

 

 

Message From Sidd Murray-Clark/シド・マリークラークからのメッセージ

 

“MIRARE means to wonder at something; to be in awe.

Artists wonder and then we start searching!

So begins a lifelong game of ‘hide and seek’ with existence, like a reflection seeking its mirror, an echo calling to the valley, a soul longing for the source.

The game is like a pulse, inevitable; to wonder and then to find as many ways possible to play the game!

This exhibition is an invitation to our conversation, our play, a meeting of media and an sharing of wonders!

 

” MIRAREとは、畏敬の念を思わず抱く何かに「驚嘆する」という意味を持つ言葉です。

 

アーティストは、まず何かに驚嘆し、そこから探求を始めていきます。

リフレクションを創り出している鏡を探すかのように、谷に響くこだまのように、その源泉を切望する魂のように、

つまり、生きている限り続く「存在とのかくれんぼ」というゲームを始めるわけです。

 

そのゲームとは、例えれば振動のようなものであり、わたしたちが避けることのできないことでもあります。

何かに驚嘆し、そうすると、そのゲームの様々なやり方が編み出されていくのです!

 

今回のエキシビションは、わたしたちが行なっている会話、わたし達の遊び、媒体との出会い、驚嘆したことの分かち合いへの招待状です!

 

シド・マリークラーク

 

This is a comment from Sidd relating to our exhibition

 

AN APPROACH TO PHOTOGRAPHY IN PAINTING – or painting in photography

Photography has come a long way since its origins in printmaking.

Once an interaction of chemicals and light on paper it’s now this new technology that frees us from its original complexities of method.

Without the need for preparation and processing, photography for most of us is now immediate, and quite often impulsive.

This puts us in the moment but how conscious are we when we press that button?

 

Photography to a large extent now feels more about a stream of decorative information.

A single photographic print standing alone unto itself can feel unusual.

While paintings or art objects are by nature singular and unto themselves.

 

As a designer and visual artist photography has been for me more a means to an end, but as I go further into painting this has changed and I work in a very different way with it.

The camera asks no questions and I see the nature of photography as fundamentally representational – maybe sometimes obscurely so but still an objective representation.

Any subjective dimension lies with the eye of the person behind the camera.

 

The more I work with it as an art form I begin to understand how to receive images rather than take them, not demanding focus or correct composition but allowing the moment and what it offers.

 

Free from the constraint of a ‘good photo’ my ‘mistakes’ now have their own merit and some of my photographic images have become points of departure into other media.

 

Of course digital photography allows us to digitally rework the image in so many ways but my interest is an actual interaction between a photographic image and other media.

This might involve the slightest mark-making on the photo or taking it to the point where the photo is almost completely taken over by another medium.

 

So with my photography I am interested in a place where mixing it with other treatments and presentation might take a photo in a new direction not only visually but also conceptually.

 

 

絵画制作における写真技術へのアプローチ もしくは写真技術における絵画制作へのアプローチ

写真技術は、その発端を印刷技術に見出してから長い歴史を経ています。

かつては、紙面で化学薬品と光との作用の話でしたが、今となっては、そのメソッドの複雑性から私たちを解き放つ新たなテクノロジーそのものです。

わたしたちにとって写真とは、準備やそのプロセスの必要とせず、時に衝動性を伴うものになっています。

(写真は)わたしたちをその瞬間に留めますが、シャッターボタンを押すときのわたしたちはどれだけ意識的なのでしょうか?

 

装飾的な情報の流れに関して、写真は広範囲に渡り活用されているように感じます。

1枚の写真だけがそこにあると、何か普通ではない感じをあたえます。

一方で、絵画やアート作品は、単独の作品として存在んするのが自然に思えます。

 

デザイナーやヴィジュアルアーティストとしてのわたしとって、写真とはどちらかというとより「終わり」を意味するものでありましたが、絵画制作に入って行けば行くほど、その意味が変化し、今ではそれまでとは非常に異なった方法で(写真を)活用しています。

カメラが何か尋ねてくることは無く、わたしは、写真技術の本質というものに根源的な再現描写ーもしくは不明瞭さを携えた客観描写ーを見出しています。

いかなる主観的空間にも、カメラの背後にいる人の目が存在するのです。

アートとしての写真と関われば関わるほど、(写真技術とは)イメージを撮るというよりもむしろ受け取るという事として、焦点や正しい構図を必要とするのではなく、その瞬間が与えようとするものを受け容れることとして、理解し始めています。

 

「良い写真」や、わたしの「間違え」といった制限から自らを解き放ったことで、

わたしの写真に収めたイメージは、今や、他の媒体へと向かうための出発点となっています。

 

もちろん、デジタル画像は様々な再生方法をもたらしてくれますが、わたしの興味は、写真のイメージとその他の媒体の間に起きる実際の交わりにあります。

これについては、写真にわずかばかりの印をつけるようなことや、写真が他の媒体に覆われ尽くすようなことになるかもしれません。

ですから、わたしは、自分の写真が他の表現と混ざっている様子に興味があり、そういった作品を発表することがまた、単にビジュアルだけではなくコンセプトについても、新たな方向性の写真を撮ることになるのかもしれません。

 

 

”Mirare” Sidd Murray-Clark × Satoko Noguchi によせて。  野口さとこ

 

谷崎潤一郎さんの著書に『文章読本』という一冊がある。

 

谷崎氏の語り口調が心地よく、名文を引用しながら、よい文章とはどのようなものなのかを、丁寧にわかりやすく説明している。

 

文章について書かれてはいるが、それは文章に限らず、写真、絵画、料理など、クリエイティブなこと全てに通じていて、

 

云々唸ってしまう場面が何度もあった。

 

例えば、
「最初に思想があって然る後に言葉が見出されると云う順序であれば好都合でありますけれども、実際はそうとは限りません。
その反対に、まず言葉があって、然る後にその言葉に当て嵌まるように思想を纏める、

言葉の力で思想が引き出される、と云うこともあるのであります」

 

という一節に、それは写真についても言えることだなぁと思った。

 

 

私の場合、最初に思想、構想があってそれに基づいて作品を作っていくということはあまりなく、

最初に撮った1枚の写真が、思想の方向性を示していたり、

何とはなしに撮り溜めていた写真を、何となく並べてみると、ふっと構想が立ち上がったりする。

 

 

モノクロのシリーズは、「手の鳴る方へ」
カラーのシリーズは、「ゆきたい方へ」
両シリーズとも、今回の展示『Mirare』に向けて製作されたものですが、少し不思議なプロセスを経て生まれました。

 

 

「手の鳴る方へ」

実家の本棚の奥から、モノクロの古い写真集が出てきて、

久しぶりにモノクロでプリントしてみたくなり、何枚か選んでテストプリントをした。
テーブルにプリントを並べている途中で、飲みかけのコーヒーをこぼし、プリントを汚してしまった。

その時ふと、染色家の友人がコーヒーで染めた生地を見せてくれたことを思い出した。

そのコーヒー色に染まったプリントを持って Siddさんのアトリエを訪ねた。

その後に起きたことは省かせていただくが、そんないきさつを経て、これらの作品が生まれていった。
私の意志ではなく、何か(それを何と呼ぶのか私にはわからない)からのお導きで出来上がったという気がしている。
そう、”手の鳴る方へ” 導かれたのだ。

 

 

「ゆきたい方へ」

きっかけは昔プレゼントされたポラロイドカメラだった。
ずっと押入れで眠っていたのだが、ふと撮ってみたくなり、箱を開けた。

消費期限を過ぎたフィルムが一袋入っていた。フィルムをセットしてワクワクしながら出かけた。
素敵な風景に出会い、何枚もシャッターを切ったが、

ポラロイドから吐き出された全ての写真はただ一色の何も写っていないフィルムでしかなかった。

本当は何かが写っているのではないか?と目をこらして隅々まで見入った。
その時ふと、パソコンで画像処理中に、間違えて画像を拡しすぎてその一部が大きく切り取られ、

混乱した時の自分の感情と結びついたのだった。
試しに、何枚かそのようなプロセスで出来てしまった写真を並べてみた。

池の鯉の皮膚であったり、孔雀の羽であったり、虫の背中であったりする、それらを見ていると、

不思議と何か私に語りかけるものがある。

それらにはゆきたい方向があることが感じられた。

その方向へ私が反応していったもの。それがこのシリーズ。

 

 

 

 

Sidd Murry-Clark/シド・マリークラーク Profile

Photo © Satoko Noguchi

 

Sidd Murray-Clark is an artist, designer and teacher who works and exhibits his art in Asia and Europe.

 

シド・マリークラークは、アーティスト、デザイナー、そしてティーチャーであり、
アジアやヨーロッパで自身の作品を発表しています。

 

Sidd is an artist writer and teacher.
He shares his creativity to help expand consciousness and sensibility in people’s lives and their environment.

 

シドはアーティストであり、またライター、ティーチャーでもあります。
彼は自らのクリエイティビティを分かち合うことで 人々の人生や環境における感受性と意識の広がりを助けます。
彼は内面の世界と外の世界の両方を探求し、その二つの世界の間にある生き生きしたつながりに働きかけます。

 

BIOGRAPHY

Sidd was born in Edinburgh, Scotland.

His very early years were spent in Singapore, before returning to England for his formal education.

He studied stage design for theatre and television and received a degree at Central School of Art, London.

He then received a post-graduate diploma in art education at London University, and a Calouste Gulbenkian Foundation scholarship.

His creative life has involved landscape and architectural design as well as writing, illustration and graphic design for publishing, while living in many countries both East and West.

He currently lives in Japan, holding exhibitions and teaching inspirational creativity workshops.

 

http://www.siddart.com

 

<経歴>
スコットランド・エディンバラで生まれる。

幼少期をシンガポールで過ごした後、イングランドに戻り教育を受ける。

ロンドンのセントラルスクール・オブ・アートにて、舞台デザインの学位を取得。

後に、カルースト・グルベンキアン財団の奨学金を受け、ロンドン大学のアート教育における大学院学位を取得。

シドの創作活動は、多くの国における在住経験の間に、景観設計や建築デザイン、執筆、出版物のイラストレーションやグラフィックデザインなど多岐にわたる。

2006年より兵庫県西宮に在住。

 

<アートエキシビション略歴>

1976 Beaminster Gallery, Somerset UK
1992-1995 Pune, India
1996

Regency Hotel Group, Maharashtra India

Oberon International Group, India & Singapore

2000 Neoteric Studios, California, USA
2001

Marin Country Open Exhibitions, California, USA

Sausalito Art Festival, California, USA

2002

Living Gallera, solo exhibition, Amsterdam, Netherland

Open Studios Exhibitions, California, USA

2003

Ironstone Gallery, Annual artists exhibition, California, USA

Period Gallery, Nebraska, USA

2004 Tadu Contemporary, New Mexico, USA
2005 Arte-Misia Gallery, Arizona, USA
2006 Arte-Misia Gallery, Arizona, USA
2007 個展 ギャラリーほりかわ(神戸・三宮)
2008

個展 ギャラリーほりかわ(神戸・三宮)

個展 HYGGE SPACE(神戸・三宮)

2009

合同展 ヒルサイドテラスギャラリー(東京)

個展 スターポエッツギャラリー(東京)

2010 個展 スターポエッツギャラリー(東京)
2011 Aloka Creative Center, Brighton, UK

個展 ギャラリーほりかわ(神戸・三宮)

個展 スターポエッツギャラリー(東京)

2012

個展 一畑百貨店美術サロン(島根・松江)

個展 スターポエッツギャラリー(東京)

2013 個展 スターポエッツギャラリー(東京)
2014

個展 スターポエッツギャラリー(東京)

個展 あじさいギャラリー(神戸・三宮)

2015 個展 オーラソーマインターナショナルカンファレンス(東京)
個展 法然院(京都)スターポエッツギャラリー主催
個展 Unica creative space(東京)Unica creative space・スターポエッツギャラリー主催
2016 個展 アートスペース余花庵(京都)
個展 Unica creative space(東京)Unica creative space・スターポエッツギャラリー主催
2017 コラボレーション展 スターポエッツギャラリー(京都)
個展 Unica creative space(東京)
個展 アートスペース余花庵(京都)

 

 

Design / Teaching

1974 –1978

Smallworks Theatre Design Group

Lecturer at Central School of Art & Design St Martins, London

1981- 1986 City planning and landscape design, Oregon USA
1988 Book Designer & illustrator for Labyrinth Books Firenze, Italy
1989 Co-authored ‘History of the Future’- published by Simon & Schuster
1989-2000

Returned to India to develop the Osho Meditation Resort, Pune,

Masterplans for eco-recovery parks and large residential projects.

2000 -2004 Neoteric Studios, multi design group in CA, USA

 

<デザイン>

現代バレエと、クラシックバレエのプロダクションに参加 ヨーロッパ、インド)

ランドスケープデザインとガーデンデザイン (インド、アメリカ)

グラフィックデザインとイラストデザイン(アメリカ、イギリスの出版物)

 

<講師経歴>

セントラルスクールオブアートの講師

アメリカ、ヨーロッパ、日本においてペインティングワークショップ開催

 

Past Exhibition@Star Pets Gallery 東京 & 京都

 

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野口さとこ/Satoko Noguchi Profile

 

北海道小樽市生まれ。石仏や人形など命の無いものに宿る”何か”を写すこと、日本特有の土俗や風習のミステリーを写すことをコンセプトに制作を続けている。

 

2011年、ライフワークである「地蔵が見た夢」の発表と出版を機にアートフォトとして注目され、ART KYOTO 2012やTOKYO PHOTO 2012などアートフェアでも公開される。

 

主な展覧会に、「Jizo dreams」新風館フォトグラフィ2013(京都国際写真フェスティバルKG+)、禅フォトギャラリーによる写真家井上青龍氏との企画展、mujikoboでのグループ展など多数の展覧会に出品。

 

1999年《フジフォトサロン新人賞》部門賞受賞。

2012年《紙技百藝2012》馬場伸彦(写真評論)審査員特別賞受賞。

2014年より、移動写真教室”キラク写真講座”を主宰している。

ポートレイト撮影を得意とし、表情を写す技術は評価が高い。

 

https://www.satokonoguchi.com/

 

これまで撮影した主な文化人・著名人:

水木しげるさん(漫画家)

荒俣宏さん(博物学者、図像学研究家、小説家、神秘学者、妖怪評論家、翻訳家)

松岡正剛さん(編集者、著述家、日本文化研究者)

横尾忠則さん(美術家)

佐野史郎さん(俳優、映画監督)

夢枕漠さん(小説家)

雨宮慶太さん(映画監督)

室井滋さん(俳優、エッセイスト)

加門七海さん(小説家、エッセイスト)

はなさん(タレント、ファッションモデル)

花輪和一さん(漫画家)

小松和彦さん(文化人類学者、民俗学者)

田名網敬一さん(グラフィックデザイナー)

 

写真展歴:

2017年 コラボレーション展 スターポエッツギャラリー(京都)
2016年 個展「Who is Charlie?」gallery rondokreanto(京都)
2013年 グループ展「Mujikobo×Gimlet」 MUJIKOBO (横浜)
個展「Jizo Dreams」新風館(京都)
2012年 ART KYOTO 2012
TOKYO PHOTO 2012
GAKEI GIMLET ”紙技百藝” 馬場伸彦賞受賞
2011年 二人展「地蔵が見た夢」Zen Foto Gallery(東京)
写真集『地蔵が見た夢』Zen Foto Gallery刊
2008年 個展「Un sablier dans la poche」violette(東京)
2005年 個展「つばめのアダージョ」Slow Time Gallery(群馬)
2003年

個展「SUITE FEERIQUE」 Star Poets Gallery(東京)

グループ展「hanahana展」GALLERY ISSISS(京都)

グループ展「Christmas展」GALLERY ISSISS(京都)

グループ展「BOX show 2nd」喜多ギャラリー(奈良

1999年 フジフォトサロン新人賞部門賞受賞
1998年

二人展「AMBIENT TOKYO」LAS CHICAS(東京)

二人展「AMBIENT TOKYO」共存(東京)

 

Born in Otaru City, Hokkaido Prefecture.

Studied photography under photographer Koichiro Shimauchi.

Satoko Noguchi focuses her photography work on capturing “something” that dwells in inanimate objects such as stone Buddhist images and figures as well as the mystery found in local customs and traditions unique to Japan.

 

 

Her work attracted attention following the publication of “Jizo Dreams” in 2011.

Consequently, her lifework of jizo (guardian deity of children) photos were displayed at art fairs including Art Kyoto 2012 and Tokyo Photo 2012.

 

Her other photo exhibitions include “Jizo Dreams” at Shinpuhkan Photography 2013 (KYOTOGRAPHIE KG+), a join exhibition with Photographer Seiryu Inoue at the Zen Photo Gallery and group exhibition at mujikobo.

 

1999 Fuji Photo Salon Rookie of the Year Award

2012 Nobuhiko Baba Special Jury Award, Kamiwaza Hyakugei 2012


 

 

 

Past Exhibition@Star Pets Gallery 東京 & 京都

 

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