
2004/11/23(tue) – 11/28(sun)
「同じ枝ではどの芽もみんな兄弟であり、
植物としてのしあわせ、地中の液、新鮮な空気、太陽の光を受ける権利を平等に持っているようにみえる。
どの芽も等 しく生きることを、樹液でふくらむことを、葉をひろげることを切望している。
しかし、じつは強者と弱者が存在するのだ。
ある者はみごとに新芽を吹き、ある 者はわずかに貧弱な葉をひろげ、ある者は枯れ落ちる。
なぜだろう。おそらく、世界の調和には不平等が、芽の不平等さえもが、必要だからだろう。」
アンリ・ファーブル「ファーブル植物記」より

中澤寿美子展 ―廃園― ( H a i e n )
中澤さんは生きている女だ。
去年初めて彼女の作品展を開催した時、地を這うような根源的な揺さぶりを掛けてくる地中にうごめくものたちの爆発を見て心が躍った。
あるいは中澤さんに内在する小宇宙の細胞分裂のような気迫にたじろいだ。
中澤さんは私には絵しかないのよ。とつぶやく。つぶやくのがいい感じの人である。
次から次へと描きたいものが あふれてくるのだと。
そんな彼女のアトリエで今回出会った新作品群は、無性にいじらしく愛しい生命たちのアジトとなっていた。
どの子も生き生きと 無償の、営みを続けている。
ついに平面から飛び出してきた彼らは、無作為に 巣作りをはじめ、キラキラのラメで身づくろいしながらこちら側の視点を意識してか、しないでか、つややかに繁殖している。
中澤さんは天然のいや真正ハイパーエコロジスティックエゴイストであり(中澤さんはこんな言い方をいやがるかもしれないが)、有機的に溶け合い一体化する自身の生き様の中にきっちりと救いの手を持っている。
手をのばすのは彼女の足元に足下に潜む大地の息吹であり、小さな産声を高らかに上げる 生命たちである。
お産婆さんのように今日も中澤さんは彼らの繁殖を手伝っている。
Star Poets Gallery 今村仁美
寿美子談
5・6歳の頃から、くりかえしくりかえし球根の絵をクレヨンで画いていました。
そのころから「これはどうしても好きだ!」という「形」「カタマリの形」「色」(ブルーと黄色が死ぬほど好きだった)というのがあって
たとえばドングリならクヌギの実じゃなきゃダメで、シイの実だと「チェッ!」というくらいしつこく好きな形が決まっていました。
子供はたいていそうかな?
そういうのが私の絵のもとになっていると思います。
中澤寿美子 Profile
1955.11.10 東京浅草生まれ
小生物とPOPアートが好きで博物学者かイラストレーターになろうと中学生くらいから思っていた。
桑沢デザイン卒業後、独学でイラストを描きはじめる。
15年間フリーのイラストレーターとして活躍。
自身によれば30歳くらいから「モヤモヤ」し始め、もっと”自分だけ”感がほしくなって、
36歳くらいから完全に地下にもぐるかのように描きたいものを探り続けたという。
いつまでももぐってもきりがないということで「私の地下」からでてきた絵を解放!
1998年インスタレーション風の個展を開催。(環画廊:南青山)
1999・2001年に個展を開催。(ギャラリー・プレンヌ・ビュ:南青山)
2003年Star Poets Galleryにて個展。
「今はもう次に作りたい感じがわかってきた。やっと道筋の入り口にたどり着いた。
気がついたら浮世離れしてから10年以上もたっていた!!」とは本人談。
2003年開催のエキシビションはこちら>>