2005/9/17-25

天つ水 くにやちえ・展

2005/9/17(sat) – 9/25(sun)

 

幾すじもの光の糸で編んだ彩ることばたち。
しずかに真摯に語りかけてくるくにやちえさんの澄みやかなる詩世界にようこそ。

 

予感 / やがて空を見る

親和

みなもへ空へ

 

 

せせらぎに小さな風小さな実り

季節にのって / 清明

 

 

天つ水 くにやちえ・展によせて

くにやさんの作品世界はやさしくいじらしく~繊細なのですが強くしなやかです。
もしかして私たちの奥に埋もれている普段は聴きなれない心の旋律や底のほうに眠っている意外なふんばりや、蒔いた事も忘れていた花の種のような生きる可能性のちからを、想い出させてくれるそんな感受があります。
くにやさんはひとりで自分のひとりの中に入っていく智慧と勇気を授けられてそのちからを信じているので、美しい植物の染料やひかりたちと交われ静かに丁寧に交信を続けているのだと思います。

そんな彼女から生まれた詩的作品たちを、みなさんのおとなのなかにいてなおも、原風景にしっかりと立っている少年少女たちに、何か感じていただきたいな。
感じていただけたらな。と願っています。

9月17日(土)は17時よりオープニングパーティーをします。
19時半頃からインドの古典楽器エスラジの演奏家、向後隆さんと奥様の赤根さんによるタンブーラの演奏もお楽しみいただけます。

皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

2005年9月吉日 Star Poets Gallery 今村仁美

 

ごあいさつ

Star Poets Galleryに初めて入ったとき、外からの光りがやわらかく差し込んで、静けさの中にこちらに語りかけてくるような空気と、泳いだあとの開放感のようなものがありました。
このような心地よい空間で作品を発表する機会を与えてくださ った、オーナーの今村さんに心から感謝致します。
様々な方の支援に感謝致します。

今回の「天つ水(あまつみづ)」に至るキッカケのひとつは、ある祭りを通して感 じたことでした。
それは「亡き人にたむける花」が主役の祭りで、花市と呼ばれ、旧盆に入る二日前、農家の人々が育てた花を持って町にやって来て、
青空の下道端 に花を並べ、売る、という演出のほとんどない祭りです。
不思議な軽さと明るさがあって、こどもの頃から何か気になり毎年楽しみにしていました。
売る人も買う人も静かに熱心で、サラリと献身的で……。
そういう姿を見ているのが好きでした。
キレイだな、と感じていました。

慌ただしい日常につい流されて、しばらく疎遠になっていましたが、
5年程前からまた出掛けるようになりあまり変わりない風景にほっとしました。
ただ、花を売る人も買う人も共に減ってきているようです。

この祭りを通して感じたもの、思い出した風景、忘れかけていた大切なこと、
知らずに絶えず受け取っていた自然界からの贈りもの・メッセージを覚えておきたいと思いカタチにしました。

新作13点を含む、ミクストメディアによる23点です。
ゆっくりご覧になって頂けたらとても幸いです。

 

くにや ちえ

 

くにや ちえ Profile

新潟県柏崎市生まれ。
お茶の水美術専門学校デザイン科卒業。
日本パブリックセンター(広告制作、グラフィック担当)勤務の後、
シルクスクリーン、コラージュ、水彩、カラーインク等による作品づくり、創作活動を開始。
お茶の水美術専門学校デザイン科非常勤講師を努めた後、グラフィックデザインに携わりながら創作活動を続ける。
1994年 「あるはずのない書物/あるはずのない断片」 ユニット・クラフトエヴィング展覧会(ピガ原宿画廊)
1995年 「どこかにいってしまったものたち」 ユニット・クラフトエヴィング商會展覧会(ピガ原宿画廊)
1997年 「どこかにいってしまったものたち」出版 ユニット・クラフトエヴィング商會著(筑摩書房)
2001年 「はま風へ/考え事と向き合いながら」個展(ピガ原宿画廊・南青山)
2002年 「ありあけの空の下」個展(ピガ画廊)
2003年~
2005年 touring exhibition「Box show 2nd」
喜多ギャラリー主催によるグル-プ展
喜多ギャラリー(奈良)→わたくし美術館(大分 湯布院)→ 京都市美術館→
Star Poets Gallery(東京 三宿)→ Gallery風(東京 銀座)→LADS GALLERY(大阪市)→
Gallery M(韓国 テグ市)→ちりめん問屋ヘブンギャラリー (京都 天橋立 05.8/20~9/1)→
創作活動と平行し、箏をライフワークとして続ける。宮下伸箏曲研究所に所属。

 

1994年 「あるはずのない書物/あるはずのない断片」 ユニット・クラフトエヴィング展覧会(ピガ原宿画廊)
1995年 「どこかにいってしまったものたち」 ユニット・クラフトエヴィング商會展覧会(ピガ原宿画廊)
1997年 「どこかにいってしまったものたち」出版 ユニット・クラフトエヴィング商會著(筑摩書房)
2001年 「はま風へ/考え事と向き合いながら」個展(ピガ原宿画廊・南青山)
2002年 「ありあけの空の下」個展(ピガ画廊)
2003年~
2005年
touring exhibition「Box show 2nd」
喜多ギャラリー主催によるグル-プ展
喜多ギャラリー(奈良)→わたくし美術館(大分 湯布院)→ 京都市美術館→
Star Poets Gallery(東京 三宿)→ Gallery風(東京 銀座)→LADS GALLERY(大阪市)→
Gallery M(韓国 テグ市)→ちりめん問屋ヘブンギャラリー (京都 天橋立 05.8/20~9/1)→

 創作活動と平行し、箏をライフワークとして続ける。宮下伸箏曲研究所に所属。


 

 


開催リポート

9月17日土曜日。晴れ渡る秋晴れの高い空のもとに、企画展『天つ水』 くにやちえさんの個展が始まりました。
十五夜は今宵のオープニングのお祝いにまんまるの微笑で見守ってくれました。
向後隆さん奏でるエスラジの繊細なサウンドをバックに、くにやさんの、泉/天つ水と題した作品からのポエトリーリーディングは、確かなたんたんと流れるヴォイスの波間から強くはかなく暗誦するくにやさんのお人柄とともに胸を打ちました。
向後さんと赤根さん(タンブーラ)による演奏、タゴールの詩篇から、最後はラーガの即興演奏へと瞑想空間を彩り、静かなトランスへとお集まりの皆様にじっくりと楽しんでいただくことができました。
絵画と音楽がぴったりと寄り添って満月の夕べを演出してくれました。
くにやさんの作品群は、まるでいにしえの佇まいを知る語り部としての役割を果たすかのように淡く、 したたかな感情を深みへと潜らせながら何か計り知れない底力を漂わせています。
ふとくにやさんが琴の奏者である事。自然界の言の葉の力を絵画へと染み込ませている事。
皆さんと交流しながら微笑むくにやさんの横顔を見る度、このお方はおとこなのか おんななのか。
なにやら月読命という神様の名を思い出しました。
月読命は、日本の神々の物語の劇中にあってその存在の多くを語らず、しかしながら世の普遍的内在世界へ記憶を滑らす装置のように封印された秘密の鍵の場所を 豊穣に語っているのではないか。
また、あの冥界の母、いざなみの命から託された命の水の源をひそやかに守っているキーパーのごとくに アルケミストの使命を 担っているのではないかと。 くにやさんにはそんな不可思議な力を感じるのです。
そんな読み人知らず的なくにやちえの秘教徒の横顔をふむふむと垣間見てしまった 満月の幕開けの会でありました。

 

存在を消せば消すほど顕われるかぐや姫のようでもあるかな。くにやちえ。
いとをかし。

 

オープニング模様

01  02

03  04

 P.S 会期中、SPGのイチオシ、パフォーマンス・アーティスト おおひなたもとこさんによるパフォーマンスがありました。
くにやさんの絵画空間に突如現れた、風小僧。 アベマリアで太極拳を舞う きのこ。
2作とももとこさんのオリジナルヴァージョンによるもので絶妙なトランスミッションがあり、くにやさんの作品たちと見事にコラボを果たしました。

 

05 06 07

会期中にいらしてくださった皆様、この場をお借りして心より感謝を申し上げます。
くにやちえ展はSPGにとりましても新たなアートへの思いを沸き立たせてくれる刺激に満ちた9日間でした。
SPGも今回で9回目の企画展が終了し、ひとつのプロセスが 解け、扉が開いたように思います。
くにやさんの作品に観る、幾層にも重ねられた自然への畏怖の念は同時にこの時代に生きる私たちの感性をたしなめてくれるような趣があり、時を越えてなおも信じることのできる何か特別な郷愁へと誘われた思いがしました。

いらしてくださった皆様のご感想や励ましもあり、まだまだよちよち歩きのギャラリーですが、今後も更に前向きにアート表現の場として創造していきたいと存じます。
いつも暖かなご声援ありがとうございます。

Star Poets Gallery 今村仁美

 

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